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和田彩花の「アートに夢中!」

【番外編】大好きな美術館。行ってみたい美術館(国内編)

毎月連載

第39回

STAY HOMEな日々が続きますが、美術館・博物館は少しずつ再開の兆しが見え始めてきた地域も。そこで今回は、和田さんがいままで訪れたお気に入りの美術館、ぜひ行ってみたい美術館について、おうちで語っていただきました。

美術との出会いをくれた場所
三菱一号館美術館(東京都・千代田区)

三菱一号館美術館 外観

大好きな美術館となると、やっぱり三菱一号館美術館は外せません! ここは私が初めて行った美術館であり、マネと出会った美術館であり、美術の道に進めてくれた場所なので、とても思い入れが強いですね。

この美術館は、東京駅からすぐの場所にあるにもかかわらず、ここだけ急に空気が変わるような場所なんです。都会のオフィス街にあるオアシスというか。建物は煉瓦造りで、美術館の前の広場には四季折々の花が咲き、木が茂ります。私はいつも広場側から入るんですが、美術館が見えてくるだけで、そして敷地に足を踏み入れるだけで、心がちょっとウキウキするような、そんな場所でもあります。

三菱一号館美術館 館内の様子

美術館自体はそんなに大きくはありません。展示スペースも天井の高いホワイトキューブではなく、なんというか、ヨーロッパの邸宅にお邪魔して美術品を見ているような気分になることが多いんです。だからか、作品との距離が近くて、じっくりと丁寧に作品をいつも見ることができます。私は時々、空間が広すぎると緊張することがあるんです。そういうのがほとんどない美術館ですね。建物とも、作品とも、いつも親密になれる、そんな美術館です。

そして三菱一号館美術館は何よりもコレクションがすごい! 特にオディロン・ルドンの《グラン・ブーケ(大きな花束)》は一見の価値ありです。

オディロン・ルドン 《グラン・ブーケ(大きな花束)》 1901年
パステル/画布 248.3×162.9cm
三菱一号館美術館蔵

この作品は、ルドンが描いたパステル画としては最大サイズなんだそうです。時々特別に展示されるんですが、いつもその大きさに圧倒されます。小さめの美術館の中、小さめの展示室のなかで、この作品だけが展示される空間があるのですが、そこでライトアップされた姿を見ると、その迫力に飲み込まれてしまいます。

もちろんルドン以外にも重要なコレクションがたくさんある三菱一号館美術館。そのコレクションの層の厚さを皆さんにも見ていただきたいですね。

また今年は三菱創業150周年を記念して、『三菱の至宝展』(7月8日〜9月22日)が開催される予定になっているそうです。詳細はぜひHPをご覧ください。

ここでしかできない鑑賞体験がある
地中美術館(香川県・直島)

地中美術館 写真:藤塚光政

次にご紹介するのは、香川県の直島にある地中美術館です。この美術館は、あの場所まで行くからこそ、いろんなことを感じられる素晴らしい美術館だと思います。

まず何より、安藤忠雄さんによるコンクリートの建物の造り、それ自体が素晴らしいんです。この美術館は名前の通り、建物の大半が地下に埋設されているという変わった美術館。地中に埋まっているにもかかわらず、自然光が取り入れられ、一年を通して、作品や空間の見え方の変化を感じることができます。いつ行っても同じ景色じゃない。それはLEDライトなどの照明では味わえない、この美術館の大きな特徴だと思います。コンクリートや石という無機質な建物ですが、自然光の入りかた、自然光を取り入れる壁の切り込みなどで美しいと思わせてくれるし、なんだか美術館の中を常に旅しているような、そんな気分も味合わせてくれるんですよね。そして美術館の中には、クロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの作品が恒久設置されています。

地中美術館 クロード・モネ室 写真:畠山直哉

私は美術館の中でも、モネが最晩年に描いた「睡蓮」シリーズ5点を展示している、ホワイトキューブなモネの部屋がとても印象的でした。モネは世界的にコレクションされている画家ですが、例えばオランジュリー美術館のように、モネだけを見る部屋を作っている美術館も少なくはありません。でも、この地中美術館がそのどこの美術館とも違うのは、先ほども言った「自然光」で作品を見るということ。それに部屋のサイズ、作品の配置場所、デザイン、素材はモネ作品と空間を一体化させるために厳選されているとか。床も2cm四方の大理石で埋め尽くされているんですが、ただのホワイトキューブにしていないというのも、面白いなと思います。

いままでの美術館のイメージを覆してくれた場所であり、作品も建物も心ゆくまで堪能し、楽しめる美術館ですね。ここでしか体験することができない鑑賞体験やアートがあると思わせてくれます。

何といってもコレクションが素晴らしい!
大原美術館(岡山県・倉敷市)

大原美術館外観 写真:KENJI GOSHIMA/アフロ

続いてご紹介するのが、岡山県にある大原美術館です。倉敷の美観地区にある美術館ですが、日本最初の西洋美術中心の私立美術館。街の美しさ、美術館の建物もさることながら、なんといってもコレクションが素晴らしい! 近現代美術中心のコレクションなんですが、それだけでなく、16世紀に活躍したマニエリスムの巨匠エル・グレコや、日本、東洋、エジプト美術のコレクションも充実しており、美術館に行ってそのコレクションを見るだけで、絵画の歴史の流れを網羅することができちゃう。もう有名な作品ばっかり!という感じです(笑)。

この美術館も、その優れたコレクションを、周りの景観と合わせて楽しんでほしいですね。

いつか必ず行ってみたい!
個性あふれる美術館

十和田市現代美術館 外観 

まだ行ったことはないんですが、ファンの方をはじめ、学校の友達やいろんな方からずっとオススメされている十和田市現代美術館(青森県・十和田市)にすごく行ってみたいんです。みんな、建物がすごい、常設作品が豪華、展覧会もいつも面白い! と大絶賛。特に常設作品は、草間彌生さんをはじめ、奈良美智さん、チェ・ジョンファさん、ロン・ミュエクさんなど、名前を見るだけでも本当に豪華ですよね。常設作品を見るだけでも、行く価値があるんじゃないかって思います。

現在は休館中ですが、『Arts Towada 十周年記念インター + プレイ展 第1期』(〜8月30日予定)には、私も大好きな現代アートチーム目[mé]も参加されていて、街中の建物に真っ白なギャラリー空間を出現されているとか。いったいどんな仕掛けを今回は見せてくれるのか、それも機会があれば、ぜひ見たいなと思っています。

次に行ってみたいのがホキ美術館(千葉県・千葉市)。残念ながら会期途中で閉幕になってしまったBunkamuraザ・ミュージアムの『ホキ美術館所蔵 超写実絵画の襲来』で、展覧会監修者の島村信之さんと対談させていただくことになり、初めてホキ美術館の作品を見ました。これまでも何度か美術館に行こうとトライしたこともあったのですが、なかなかうかがえずで……。

正直、これまで「超写実絵画」にはあまり興味が持てなかったんですが、展覧会で拝見してすごく楽しかったんです。超写実と言われると、皆さん写真のような精密な作品、ツルッとした表面の絵、というような印象を持たれているかもしれません。でも作家さんによって、描くモチーフも違うし、何より描き方も画面の質感も、画材も全然違うっていうことに気づいたんです。でもこれは実際に作品に接近してみないとなかなかわからないこと。ひとくくりに「超写実」では言い表せられない奥深さがあるんだなって知りましたね。だからホキ美術館のほかのいろんなコレクションを見てみたいです。残念ながら現在は昨年の水害の影響で休館中とのこと。一日も早く復旧されることを願っています。

あとは、現代美術作家・杉本博司さんが設計した江之浦測候所(神奈川県・小田原市)も行ってみたいです!ここもいろんな人に建物も含めて、景色というか、この場所自体が絶景であり、訪れるべき場所だというふうに教えてもらったんです。いろんな写真なんかを見ても、美術関係なく、この場所に行きたいと思わせてくれる場所。なんだか何もかもが壮大!と感じさせられます。

杉本さんは、現代美術家であり写真家としてだけでなく、建築を手掛けられたり、能や狂言、人形浄瑠璃に古美術など、さまざまな場で大活躍されています。この江之浦測候所には、ガラスや石の舞台が設置され、実際に能舞台や歌舞伎の舞台として使用されているとか。

そういった日本の伝統文化も感じられるという、面白い場所。ここに行くだけで、美的な空間にひたれるというか、心がウキウキしそうだなって思います。しかも美的な空間に自然の絶景が組み合わさるなんて、最強ですよね(笑)。だからそれを早く実体験として味わいたいですね。

もうずいぶん美術館には行けていませんが、このコロナによるこの大変な状況が落ち着いたら、時間を作っていろいろなところにゆっくりじっくりと訪れてみたいなと思っています。


構成・文:糸瀬ふみ

プロフィール

和田 彩花

1994年生まれ。群馬県出身。2004年「ハロプロエッグオーディション2004」に合格し、ハロプロエッグのメンバーに。2010年、スマイレージのメンバーとしてメジャーデビュー。同年に「第52回輝く!日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。2015年よりグループ名をアンジュルムと改め、新たにスタートし、テレビ、ライブ、舞台などで幅広く活動。ハロー!プロジェクト全体のリーダーも務めた後、2019年6月18日をもってアンジュルムおよびハロー!プロジェクトを卒業。一方で、現在大学院で美術を学ぶなどアートへの関心が高く、自身がパーソナリティを勤める「和田彩花のビジュルム」(東海ラジオ)などでアートに関する情報を発信している。

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