LETO -レト-
20/7/23(木)
(C)HYPE FILM, 2018
ときは1980年代前半。西側諸国(資本主義諸国)の文化は禁忌とされていたソ連時代のレニングラードを舞台に、西側のロックスターの影響を受けたアンダーグラウンド・ロック・シーンの若者たちの熱とクリエイティブなエネルギーをモノクロの画面で見事に表現した『LETO -レト-』は実に不思議な魅力を持った映画だ。
監督は反体制的な芸術活動が要因で無実の容疑で国に拘束され、現在もロシア政府の監視下にある前衛芸術家キリル・セレブレンニコフ。1年半の自宅軟禁のさなかにこの作品を完成させたというが、「ロシアの集団的無意識の中にカラーの概念が現われるのはこの後のことだから」とモノクロをベースに作り、そこに赤い文字や人物を囲んでいく線などを自由に踊らせていく手法は完全にアートの領域に達している。
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、カンヌ・サウンドトラック賞最優秀作曲家賞を受賞したもの納得。ガンガン流れる70年代ロックの名曲も強力だ。
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