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櫻坂46、『紅白歌合戦』初出場での独特の気迫 “紅と白”の特別衣装、グループ全員パフォーマンスの意義とは

リアルサウンド

21/1/6(水) 6:00

 櫻坂46が大晦日恒例の『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に改名後初となる出場を果たした。披露したのは12月にリリースしたばかりの1stシングル曲「Nobody’s fault」。年末のほとんどの音楽番組にこの曲で挑んできたためダンスの切れ味も磨きがかかり、メンバーの表情も一段と気合いが入っていた今回のパフォーマンスをここで振り返ってみたい。

“紅と白”の特別衣装とメンバーたちが醸し出す“大人”な魅力

 まず、ひと際目を引いたのがこの日のために制作された特別衣装だ。ライダースジャケット風の上半身や腰のベルトにはロック感があり、メッセージ性の強い楽曲とマッチしている。対して下半身の作りはドレス風のロングスカートのため、坂道グループらしい可憐で美しいイメージが保たれている。全体としては線の美しいスタイリッシュなシルエットで、ターンしたり、裾を掴んで大きく振ったりなど、スカートを使ったダンスが際立つ作りだ。面白いのが、脇のあたりから裾にかけて左右で“紅白”に分かれたカラーリングが施されている点である(靴まで両足で色分けされている!)。男女対抗形式のこの番組において、言うまでもなく赤は女性、白は男性を表す。そんな”紅と白”の混合衣装は、美しさと力強さが見事に調和した両方の魅力を合わせ持つデザインと言えるだろう。

 メンバーたちも新鮮な魅力を放っていた。歌い出しでセンターが右腕を大きく突き上げ、そこから人差し指をゆっくり蛇行させていく振りや、顎に手を添えた瞬間の一瞬の微笑み、あるいは客席側に向かって手を向ける仕草など、随所に妖艶な魅力が表れている。相手を魅惑する“大人”な魅力とでも言うべきか。今までの同グループのイメージと言えば、むしろ大人に対して反抗するようなものだった。一転して今作は、相手を誘うようなオトナっぽい目が印象的だ。年末の歌番組のラッシュによってパフォーマンスがブラッシュアップされたことで、これまで以上にそれが強く感じられた。

改めて示した“全員で成長する”という意気込み

 そして今回のステージで特徴的だったのが、歌唱中に選抜以外のメンバーが舞台に駆け寄り、サビ部分からグループ全員でパフォーマンスした点である。これには「選抜の意味がないのでは?」との声が上がってもおかしくない。しかし、選抜制度を導入した点にも、楽曲によってメンバーを入れ替える新体制にも、そもそも改名という決断自体にすらも、その根底には“全員で成長する”というテーマがある。『紅白歌合戦』は他とは違う場所だ。そこに立つということに特別な意味がある。あの日あの場所で歌ったということに、再スタートへの意気込みと、改めて“全員で成長する”ことへの誓いの意味が帯びてくるだろう。なので、今回のステージにはこれまでにはない独特の気迫のようなものが漂っていた。激動の2020年を共に乗り越えた仲間たちと今一度ここで肩を組み、チーム一丸となって活動していこうという前向きなエネルギーが画面を通して伝わってくるようだった。

 新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて史上初の無観客開催となり、アーティスト間のコラボも減った今回の『紅白』。それによって比較的“歌”そのものが浮き立つ作りになっていたことも幸いし、彼女たちのこうした新鮮な魅力は、より広く深くお茶の間に届いたことだろう。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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