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BLUE ENCOUNT、喜びも悲しみも優しく包んだ横浜アリーナ公演「これからも俺たちはあなたの味方」

ぴあ

BLUE ENCOUNT『BLUE ENCOUNT ~Q.E.D : INITIALIZE~』@神奈川・横浜アリーナ 写真:浜野カズシ

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熊本出身のロックバンド・BLUE ENCOUNTが、4月17日・18日の2日間に渡り、神奈川・横浜アリーナでのワンマン公演『BLUE ENCOUNT ~Q.E.D : INITIALIZE~』を開催した。

コロナ禍以降、エンタメ業界へ寄せられた声もしっかりと受け止め、初の横浜アリーナ公演に臨んだBLUE ENCOUNT。そんな彼らがこのライブへ持って来た答えは、このステージに矛盾なく体現されていた。

“証明終了”という意味を持つ、昨年11月にリリースされた最新アルバム『Q.E.D』。本来、単語の末尾にピリオドがついているが、このタイトルにはピリオドが無い。そのピリオドが無い未完成なのか、自由さを持て余しているのか、ありのままなのか、未知の部分もオーディエンスはよく知っているようで、アルバムタイトルのロゴが青く浮かび上がったステージセットをバックに大きなハンドクラップで田邊駿一(Vo&G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人を迎えたオーディエンスの熱量は、スタートからとてつもない信頼関係を見せていた。

待ち望んだ横浜アリーナでの公演は、好評につき急きょ2日間の開催。ここでは、現在示せる力をふり絞りバンドが提示した、ワンマン公演の初日のレポートをお届けする。

無数に重なり表示される数式やCGのグラフ映像がテンポ良く入れ替わる中、《What is LIVE in your life?》との問いかけの文字がヴィジョンに焼きつく。そこへ、全力でステージに想いを投入した、始まりを告げるにふさわしい「STAY HOPE」がひと塊に音を放った。歴史に「もし」があったならーー。解けない数式にいくら公式を当てはめて解こうとしても、天災を前にそれを解くことは難しいことかもしれない。しかし、目の前のあなたを音楽で幸せにすること、笑顔にすること。それを音楽で証明する姿勢は、これまであらゆる苦境も目の当たりにしたBLUE ENCOUNTだからこそ辿り着けた、シンプルな幸せの方程式なのかもしれない。オーディエンスを肯定するための、その音が生み出すエネルギーが初っ端から広がった。

田邊駿一(Vo&G)

ちなみに、昨年7月の豪雨災害など、彼らが音楽の力で地元・熊本を支えてきた功績は大きいが、「STAY HOPE」は彼らがこれまで行ってきた熊本支援プロジェクト名にも掲げられており、その想いも音楽にのせて響いていた。そんな熊本出身のロックバンドとして人気を博す一方で、この日のライブで特筆すべきことは、新たなホームを生むような、これまでもこれからもひっくるめて未来へ向かう、彫りの深い情感溢れるステージとなったことだ。

ライブ中盤のMCでも語られていたが、横浜アリーナ近郊にある「スタジオ02」は、彼らがインディーズ時代から利用していた場所であり、横浜は結成当初、辻村以外のメンバー3人がルームシェアしていたこともあるゆかりの地。当時の関係者がライブに駆けつけたこともそうだが、横浜は辻村の地元ということで、この横浜アリーナで成人を迎えた彼のエピソードも含みライブへの喜びもひとしおだった。

「ここにいる全員で、最高なハッピーエンドを」

辻村勇太(B)

ブチ上げられた、辻村の“かかって来いやー!”と調子の良いかけ声を合図に奇怪なギターが響き、TVアニメ『銀魂』ポロリ篇のOPテーマ「VS」が演奏され、燃え上がる魂の叫びを序盤からヒートアップした会場に響かせ歌い終えると、田邊が口を開いた。

“みんな元気にしてたかい? はじめての会場でどうかと思ったけど、みんなのワクワクしている表情がよく見えます。今日はここにいるあなたの為だけに歌えたらいい。貴重な1日を僕らに下さい!”と、充分にチャージされた気持ちを連れ、身体中に言葉が響くような「FREEDOM」、実直な想いを込めた「ポラリス」、テクニカルなギターが怪しげなムードを掻き立てる「棘」と最新アルバムからの渾身の楽曲が次々とドロップされた。「ポラリス」では、地面からアリーナの天井に広がるミラーボールの光を田邊が感慨深い表情で見上げる。しかし、スタートから一貫して伝わったのは、そんなメンバーの想いだけではなかった。オーディエンスのヴォルテージも、止むことが無い。その想いが共鳴する様子は輪郭が見える程にハッキリと分かった。ハンドクラップは360℃、ぐんぐんと音を立て大きく伝播する。

江口雄也(G)

「幻聴」では、《誰かの価値を満たして 無難に死ぬより あなたの勝ちを探して 派手に生きてやれ》とパンチのあるメッセージに加え、江口のギターと辻村のベースが上手くリズミカルに交差し、初期のBLUE ENCOUNTらしいギター・ロック要素が詰まったサウンドが鳴り響く。自分に言い聞かせるようなメッセージは、しっかりと観る者の背中を押す。嘘偽りなく、無理に答えを出すこともない自然体な姿が清々しい。

MCでは、横浜に前乗りするもホテルで自分の予約名が見当たらず、フロントのスタッフにかけあった結果、予約名が田邊駿一でなく、「Vo 田邊(ヴォ・タナベ)」で入っていた話など、本編とは真逆の緩んだトークで進んでいくも、いつも通りの自分たちらしいMCができることを、いつも以上に噛み締めていた。そして、結成当初から呼びかけているライブでは人が嫌がることはしないというルールを改めて伝えると、心地よいチームワークが場内にも生まれた。コロナ禍の中での注意事項も伝えられ、安全な体制をとって、“ここにいる全員で、最高なハッピーエンド出すからな!“と、笑顔をさらに広げるライブに温かさと強かさを感じた。

高村佳秀(Dr)

「HAPPY ENDING STORY」に続いて、「NEVER ENDING STORY」とポップでカラフルに彩られた空間をリズムに合わせて楽しむメンバーが印象的だったが、自分の殻を明るいサウンドにあわせて破って前へと進み出せるような空間に、一体感も、開放感も一気に高まる。声が出ないのに、声が聞こえるような不思議な空間に田邊も笑顔で足を大きくあげ、ひたすらにオーディエンスとアリーナ空間を一緒に楽しむ様子も微笑ましい。

演奏後は思わず、演奏に負けないオーディエンスの反応に悔しそうな表情を見せた。“不思議なんだよ。きちんと届いてるんだよ!”。シンガロングはできずとも、確かにそれは必要以上に大きく届く。「SUMMER DIVE」では、さらにエンターテインメントのど真ん中へ連れ込むような音が駆け回り、掲げられたタオルがアリーナをフェスティバル状態へ導く。辻村のスラップベースも弾み、共有された空間は多幸感に溢れ、続く「ANSWER」でも4人の力強いサウンドがこだまし、アリーナを沸かせた。

サプライズで"ONAKAMA"登場!

そして、ここでさらにファンも歓喜のサプライズが。ライブも折り返し地点に差し掛かったところで、“初横アリ祝いに、仲間が来てます!”と、貴重なライブをさらに盛り上げようと、04 Limited SazabysからGEN(Vo&B)とTHE ORAL CIGARETTEの山中拓也(Vo&G)がステージへ登場した。同世代の同じ釜の飯を食った3人の仲間・ONAKAMAとしてツアーも回ったメンバーが揃う。"ONAKAMA 2021"の文字がヴィジョンに映されたところで、演奏されたのは「灯せ」。このメンバーで名古屋、大阪、福岡のみのツアーだったこともあり、想いを同じく集った3人の念願のステージには、ファンも両腕を上げ歓喜した。

さらに、“大切な宝物が見つかりますように”という優しいメッセージが込められたストーリー仕立てのイラスト映像が流れると、映像の終わりに手のひらへと1枚の桜の花びらが舞い落ちる。そこへ、シンプルなバンドサウンドの上に届けた「ユメミグサ」がエモーショナルに届けられた。7年前に誕生していたというエピソードを持つ曲が、ここ横浜アリーナに響きわたったのも感動的だったが、インディーズ時代からの関係者も、はじめて会場に訪れたファンも、誰ひとり取りこぼすことなく笑顔にしたいというサービス精神にも通じた熱さも伝わり、より一層、心の距離を縮めてくれた。“昨日より1秒でも長く、あなたたちにちょっとでも笑ってもらいたいからここに来た”という不確かな世界の中でも証明できる、唯一の真実を持って自分たちの居場所に帰って来たBLUE ENCOUNTの姿は逞ましい。

これまでの月日が重なり、息がぴったりあったファルセットの美しい「バッドパラドックス」。燃え上がる炎の中、さらにオーディエンスをヒートアップさせた「VOLCANO DANCE」では、江口が大きく踊るようにギターを弾ませて、タッピングのギターソロから辻村のソロへと繋ぐバトンも秀逸だった。「#YOLO」(=人生は一度きり、“You Only Live Once”のスラング)では、ヴィジョンに歌詞も映し出され、メロディの展開にあわせ、言葉遊びの海が観る者の心を揺らす。ギターのサウンドが鳴り響くライブチューンは続き、「DAY×DAY」と前のめりにエモーショナルなライブは続いた。

“歌じゃないと伝えられないから歌ってるんだよ!”と田邊が思いの丈をぶつけた歌は、それぞれに、それぞれの光を照らす。“もっと来てくれよ!”とさらに焚き付けて贈られた「もっと光を」では、その届けたい力が、求心力となり傍観者を当事者へと変えていくフェーズが伺えた。これほどまでに人を惹きつける彼らのライブは、喜びも悲しみも包み込む優しさがある。“生きることはしんどい”そんな本音も隠すことなく、それでもこのコロナの中で感じた自身の経験から“生きていればたまにやっちまった失敗も、別れの悲しさも超えられる日が来るから楽しくやり直せる日もある。何度も辞めてやろうと思ったけど、これだけは俺は自信を持って言える。これからも俺たち4人の音楽は、俺たちはあなたの味方です”と強く届けた田邊は、“俺らが誰かの幸せになればいいんだよ”と胸を張ってステージに立っていた。

「ハミングバード」では、メンバーが全員口ずさんで歌い、これまでの辛さをも超え、努力の先にある綺麗な想いがカタチになっていく様を、自身の姿で証明するかのようだった。その景色は、メンバーから見ても、オーディエンスから見ても最高に綺麗だったに違いない。

アンコール前には、来月5月から10月27日の神奈川・KT Zepp Yokohama公演まで全国36公演を巡るライブハウスツアーの発表。そして、情熱大陸を模した高村の本人曰く世界初の高村が物販隊長を務めるワンマン物販ショーが繰り広げられた。演奏もトークもどちらも抜かりない。

最後は、“全てのあなたに感謝です”と愚直さはそのまま、全身全霊で「あなたへ」、“また会いましょう。今日の続きはその時にとっとこう”と、「喝采」で締め括られた。バンドのモードは最高潮のまま、次を約束した実にBLUE ENCOUNTらしい躍進的な姿に、これからも楽しみは尽きない予感を確信した。


取材・文 / 後藤千尋
写真:浜野カズシ

-SET LIST-

1. STAY HOPE
2. VS
3. FREEDOM
4. ポラリス
5. 棘
6. 幻聴
7. HAPPY ENDING STORY
8. NEVER ENDING STORY
9. SUMMER DIVE
10. ANSWER
11. 灯せ
12. ユメミグサ
13. バッドパラドックス
14. VOLCANO DANCE
15. #YOLO
16. DAY×DAY
17. もっと光を
18. ハミングバード

ENCORE
En1. あなたへ
En2. 喝采

<ツアー情報>
『BLUE ENCOUNT tour 2021 ~Q.E.D : INITIALIZE~』

5月19日 千葉LOOK
開場 18:00 / 開演 18:30

5月21日 水戸LIGHT HOUSE
開場 18:00 / 開演 18:30

5月22日 西川口Hearts
開場 17:30 / 開演 18:00

5月26日 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
開場 18:00 / 開演 18:30

5月27日 高松DIME
開場 18:00 / 開演 18:30

5月29日 米子AZTiC laughs
開場 17:30 / 開演 18:00

5月30日 周南RISING HALL
開場 17:30 / 開演 18:00

6月2日 旭川CASINO DRIVE
開場 18:00 / 開演 18:30

6月3日 札幌PENNY LANE24
開場 18:00 / 開演 18:30

6月8日 浜松窓枠
開場 18:00 / 開演 18:30

6月9日 豊橋club KNOT
開場 18:00 / 開演 18:30

6月11日 京都MUSE
開場 18:00 / 開演 18:30

6月14日 盛岡Club CHANGE WAVE
開場 18:00 / 開演 18:30

6月16日 秋田CLUB SWINDLE
開場 18:00 / 開演 18:30

6月17日 石巻BLUE RESISTANCE
開場 18:00 / 開演 18:30

6月22日 富山MAIRO
開場 18:00 / 開演 18:30

6月23日 金沢EIGHT HALL
開場 18:00 / 開演 18:30

6月26日 熊本B.9 V1
開場 17:30 / 開演 18:00

6月28日 小倉LIVE SPOT WOW!
開場 18:00 / 開演 18:30

6月29日 鹿児島CAPARVO HALL
開場 18:00 / 開演 18:30

7月2日 沖縄 桜坂セントラル
開場 18:00 / 開演 18:30

9月9日 Zepp Osaka Bayside
開場 18:00 / 開演 19:00

9月10日 Zepp Osaka Bayside
開場 18:00 / 開演 19:00

9月15日 Zepp Fukuoka
開場 18:00 / 開演 19:00

9月16日 Zepp Fukuoka
開場 18:00 / 開演 19:00

9月23日 サッポロ ファクトリーホール
開場 17:00 / 開演 18:00

9月27日 Zepp Tokyo
開場 18:00 / 開演 19:00

9月28日 Zepp Tokyo
開場 18:00 / 開演 19:00

10月2日 新潟LOTS
開場 17:30 / 開演 18:00

10月9日 BLUE LIVE広島
開場 17:00 / 開演 18:00

10月10日 高松festhalle
開場 17:00 / 開演 18:00

10月18日 Zepp Nagoya
開場 18:00 / 開演 19:00

10月19日 Zepp Nagoya
開場 18:00 / 開演 19:00

10月24日 SENDAI GIGS
開場 17:00 / 開演 18:00

10月26日 KT Zepp Yokohama
開場 18:00 / 開演 19:00

10月27日 KT Zepp Yokohama
開場 18:00 / 開演 19:00

<チケット料金>
5月19日から7月2日の公演:前売 5,300円(税込 / 1drink別)
9月9日から10月27日の公演:前売 5,800円(税込 / 1drink別)

関連リンク

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