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22/7(ナナニジ)、帆風千春が飾った有終の美 リーダー卒業を経て踏み出す新たな一歩

リアルサウンド

21/3/11(木) 18:00

 デジタル声優アイドルグループ22/7が2月28日、パシフィコ横浜国立大ホールで7thシングル『僕が持ってるものなら』発売記念ライブを行なった。この日は、ニューシングルに収録されている楽曲すべてをパフォーマンスする披露目のイベントであると同時に、グループのリーダーを務めてきた帆風千春の卒業ライブでもある。昼夜2公演が行なわれた同イベント、ここでは帆風の22/7メンバーとしてのラストステージとなった夜公演にスポットを当ててライブの模様を伝える。

 夜公演は、「シャンプーの匂いがした」「未来があるから」の2曲でライブスタート。昼公演では「理解者」「韋駄天娘」をセットリスト冒頭に配置し、序盤からハイスピードで飛ばしてみせたが、夜は一転、爽快な印象で幕を開けた。

 もっとも、夜公演序盤を飾った2曲はそれぞれに、慕わしい人が去ってゆく切なさや、未来を見据えることへの複雑な感情が込められた作品である。昼夜いずれもデビュー1年目の楽曲で開演しつつも大きく印象を変え、夜公演では帆風の卒業をより強く意識したものとなった。

 「風は吹いてるか?」から始まる次のブロックでは、11人体制が基本となって以降の楽曲が立て続けに披露される。「ロマンスの積み木」「Rain of lies」、そして「何もしてあげられない」へとつないでゆくセットリストであらためてうかがえるのは、22/7が楽曲ごとに豊かな意匠を織り込んだダンスで魅せるグループでもあるということだ。特に各メンバーの個性が際立ってきた現在、これらの作品はグループ総体としても、また個々人にクローズアップしてみても、格段に面白味を増している。

 メンバー個々が強さを増してきたからこそ、今回の7thシングルがトータルとして持っている振り幅の広さもより効果的になる。ライブ中盤からは、リリースされたばかりのシングル収録曲が次々に披露される。

 紅白2組に分かれたユニット曲のうち、「甘ロリ」をコンセプトにした白組「キウイの主張」では涼花萌を中心にして、語るように言葉を置いてゆきながらキュートな世界観を貫徹させる。一方、「パンクゴシック」を掲げる紅組「雷鳴のDelay」はドラマティックなロックナンバー。戦隊ヒーローもの的な意匠を織り込んだ振付には、有無を言わせぬ痛快さが宿っていた。高辻麗がコンセプトを発案し、ファンのアンケートによって選ばれた対照的な2組のユニットは、いずれも22/7全体で披露する楽曲とは一味違うクセを持ち、しかし同時にキャラクターを演じることに長けたこのグループの強みが活かされたものになった。

 これらユニット曲に劣らず、今シングルの全体曲もまた豊かなバリエーションを持つ。「タチツテトパワー」はこれまで22/7のライブを盛り上げてきた楽曲群とも異なる、底抜けに明るい作品。両腕を広げ“T”のポーズを作った振付で駆け回るパフォーマンスは、ライブをハイテンションの祭り場へといざなう。その一方で、「好きと言ったのは嘘だ」では今作随一の爽やかさで、ノスタルジックな雰囲気を描いた青春ソングを提示してみせる。そして「僕が持ってるものなら」は、三拍子のバラードでシングル表題曲としての新たな境地を見せつつも、シリアスな内省を歌う作品性はこれまでの22/7の代表曲群とも通底している。静かな中に気品をたたえた振付を軸にしたパフォーマンスは、今後の22/7のライブにさらなる広がりをもたらすはずだ。

 やがて公演は、グループにとって大きな節目となった昨年のアニメ『22/7』OP主題歌「ムズイ」、そして「願いの眼差し」を経て、「循環バス」で本編のフィナーレを迎える。ささやかに心弾ませる青春の日々の尊さを歌う「循環バス」は、ここにきて帆風千春とともにあった22/7の歩みを愛おしく振り返るような趣をもっていた。

 そして、アンコールののち、再び現れた帆風がただ一人ステージに立つと、披露されたのは彼女がアニメで担当してきた役・佐藤麗華のキャラクターソング「優等生じゃつまらない」であった。

 元来は、生真面目な佐藤の人物造形を逆手にとった強度のあるナンバーだが、この日のパフォーマンスで何より前面に打ち出されたのは、一人の演者としての帆風の力強さだった。昼公演ではアンコール時に「地下鉄抵抗主義」「僕は存在していなかった」を歌ってグループとしての原点に立ち返ってみせたのに対して、帆風の在籍時ファイナルステージとなる夜公演アンコールは、ソロとしての彼女の姿を象徴的に映すものになった。この帆風のソロアクトは、もちろん何かの終わりを意味するものではなく、彼女が新しい次の一歩を踏み出す、未来のための時間だったはずだ。

 「優等生じゃつまらない」が終わると、他メンバーも帆風の周囲に集い、それぞれに彼女に向けてしたためた手紙を読み上げる。活動を休んでいる武田愛奈からの手紙も高辻によって代読されたのち、ステージ上で円陣を組むと、ラストはアニメ『22/7』ED主題歌「空のエメラルド」で公演を締めくくった。

 22/7リーダー・帆風千春への爽やかなはなむけの場であり、また豊かなバリエーションを誇る最新シングル全曲披露によって、グループ全体が持つ現在のパフォーマンス力を見せつける場ともなったこの日のイベント。帆風と22/7、双方にとって希望の兆しを見せて幕を閉じた。

【22/7「僕が持ってるものなら」発売記念LIVE 公演情報】
公演日:2021年2月28日(日)    
昼公演 開場 12:30 / 開演 13:30
夜公演 開場 16:30 / 開演 17:30

<夜公演セットリスト>
M01 シャンプーの匂いがした
M02 未来があるから
-MC-
M03 風は吹いてるか?
M04 ロマンスの積み木
M05 Rain of lies
M06 何もしてあげられない
-MC-
M07 キウイの主張(白組/海乃るり・西條和・白沢かなえ・涼花萌)
M08 雷鳴のDelay(紅組/天城サリー・河瀬詩・倉岡水巴・高辻麗・帆風千春・宮瀬玲奈)
M09 タチツテトパワー
M10 好きと言ったのは嘘だ
M11 僕が持ってるものなら
-MC-
M12 ムズイ
M13 願いの眼差し
M14 循環バス
ENCORE
M15 優等生じゃつまらない
-MC-
M16 空のエメラルド

22/7『僕が持ってるものなら』発売記念LIVE
【22/7 1stアルバム 『11という名の永遠の素数』 収録内容】
タイトル:11という名の永遠の素数
発売日:2021年6月30日(水)
形態数:全4形態
①完全生産限定盤A/SRCL-11780~11783/¥9,980(税込)
・CD(2枚組)
・Blu-ray(『22/7「僕が持ってるものなら」発売記念LIVE』昼公演@パシフィコ横浜(2021.02.28)
・ライブフォトブック
・三方背BOX
・トレカ(完全生産限定盤Aアーティストトレカ10種のうちランダムで1枚を封入)

②完全生産限定盤B/SRCL-11784~11787/¥9,980(税込)
・CD(2枚組)
・Blu-ray(『22/7「僕が持ってるものなら」発売記念LIVE』夜公演@パシフィコ横浜(2021.02.28))
・ライブフォトブック
・三方背BOX
・トレカ(完全生産限定盤Bアーティストトレカ10種のうちランダムで1枚を封入)

③完全生産限定盤C/SRCL-11788~11791/¥9,980(税込)
・CD(2枚組)
・Blu-ray(Music Video集)
・ジャケットイラストアートワーク集
・三方背BOX
・トレカ(完全生産限定盤Cアーティストトレカ10種のうちランダムで1枚を封入)

④通常盤/SRCL-11792/¥2,500(税込)
・CD(1枚組)
※CD収録内容は、後日発表します

【初のライブ映像商品「22/7 LIVE at STUDIO COAST ~11(イレブン)~」】
タイトル:22/7 LIVE at STUDIO COAST ~11(イレブン)~
発売日:2021年4月21日(水)
形態数:全4形態

①完全生産限定盤(DVD)/SRBL-1990~1991/¥6,500(税込)
・DVD
・ライブフォトブック
・三方背BOX
・トレカ(ライブ写真15種のうちランダムで1枚を封入)
・副音声:出演メンバー11名によるオーディオコメンタリー

②通常盤(DVD)/SRBL-1992/¥5,200(税込)
・DVD only

③完全生産限定盤(Blu-ray)/SRXL-315~316/¥7,500(税込)
・Blu-ray
・ライブフォトブック
・三方背BOX
・トレカ(ライブ写真15種のうちランダムで1枚を封入)
・副音声:出演メンバー11名によるオーディオコメンタリー

④通常盤(Blu-ray)/SRXL-317/¥6,200(税込)
・Blu-ray only

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