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B’zがライブで打ち立てた伝説の数々ーー『LIVE-GYM』映像で辿るロックバンドとしての凄み

リアルサウンド

20/4/26(日) 10:00

 国の緊急事態宣言や外出自粛に伴い多くのアーティストが、ライブが開催できない代わりに過去のライブ映像を公開している。4月13日にはB’zがYouTube公式チャンネルで、『B’z LIVE-GYM -At Your Home-』と題してこれまでに映像化されたVHS・DVD・Blu-ray全23作品を期間限定(2020年5月31日23時59分まで)で無料公開中。昨年のツアー映像『B’z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-』は170万回以上の再生回数(4月23日現在)を突破するなど、ファンの枠を越えて大きな広がりを見せている。人々を引きつけるB’zの魅力は? ライブ映像から検証した。

参考:B’z、平成の音楽シーン駆け抜け勢いそのまま令和へ 楽曲とパフォーマンスから牽引力の秘密を探る

■ファンを驚かせるド派手な演出の数々

 『LIVE-GYM』と題されたB’zのライブは1989年にスタート。いち早くアリーナやスタジアムクラスでのライブを開催し、アーティストの大規模ライブ開催の先駆けとなった。その大きな見どころの一つは、見る者の度肝を抜く演出の数々だ。

 『B’z LIVE-GYM 2015 -EPIC NIGHT-』で、「BURN-フメツノフェイス-」のラストにクレーンで吊り上げた車を落として破壊した演出は有名。『B’z LIVE-GYM 2001 -ELEVEN-』では巨大トレーラーがステージに登場し、『B’z LIVE-GYM 2017-2018 “LIVE DINOSAUR”』ではジュラシックパークのような世界をステージ上に作りだした。また、2003年に台風15号の豪雨のなかで敢行された15周年野外ライブ『Typhoon No.15 ~B’z LIVE-GYM The Final Pleasure “IT’S SHOWTIME!!” in 渚園~』の「LOVE PHANTOM」で稲葉が30メートルの高さからダイブしたのは伝説だ。

 次に、松本孝弘のギターと稲葉浩志のボーカルを中心にした、メタル/ハードロックを基盤にしたバンドサウンドだ。B’zのライブでは毎回松本のギターソロコーナーがあり、時には火花を散らしながらハードなプレイを聴かせ、ときにはブルージーに哀愁溢れる演奏を聴かせる。それと対を成すように、稲葉はパワフルなボーカルを響かせながらステージを縦横無尽に駆け回る。3時間近くのライブの間中動きまわり続けながら、息を切らせることなく歌い続ける無尽蔵のスタミナには驚くだろう。

 それを支えるサポートメンバーはB’zにとってファミリーで、これまでに数多くのメンバーがB’zのライブに携わってきた。初のアリーナ公演&初の”Pleasure”という名を冠したツアー『B’z LIVE-GYM “Pleasure ’91″』が収録された『JUST ANOTHER LIFE』などでは、そうしたサポートメンバーの表情も数多く収録されている。90年代のライブではサポートメンバーのファンも多く、各楽器をフィーチャーしたコーナーが設けられていたこともあった。そうしたサポートメンバーと楽しそうに談笑する様子が収録された映像は、近年のファンには新鮮に映るだろう。

 B’zは当初からバンドという意識が強く、そうしたファミリー感はファンに対しても同様で、それは今も変わらない。ファンとのかけ合いはB’zのライブの魅力と言えるだろう。最新の『B’z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-』では、サポートメンバーが一新されバンドとしての新たな一歩を踏み出した。

■ライブだからこその生の表情

 また、1993年に静岡県浜松市にある渚園に2日間で10万人を動員した『B’z LIVE-GYM Pleasure ’93″JAP THE RIPPER”』は、非常に見応えがある。『FUJI ROCK FESTIVAL』もまだ始まっていない時代に、この規模で行われたライブは類を見ない。まるでジャングルジムのように組み上げられた巨大なイントレや爆音のサウンドとそれを掻き消すような大歓声は、まるで海外のロックスターのステージをほうふつとさせる。同映像にはリハーサル風景などステージの裏側の様子も収録され、メンバーの真剣な表情は一見の価値ありだ。

 B’zはメディアに滅多に登場することがなく、生の声や人となりが感じられるのはライブだけだ。例えば「B’zのLIVE-GYMにようこそ!」という稲葉の決まり文句は名物で、毎回それをどう言うかにも工夫が凝らされている。例えば、『B’z LIVE-GYM 2015 -EPIC NIGHT-』ではステージ上に登場した巨大ブラジャー(EPICブラ)が回転するとその裏に書いてあったこともあったり、稲葉のお茶目さが感じられる瞬間だ。『B’z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-』では、さいたまスーパーアリーナの観客と「見えてますか? 見えてない?」といったユーモアたっぷりのやりとりで楽しませる。

 ハードロックやファンクをベースにJ-POPと融合させた音楽性で人気を博した90年代。キャッチーなメロディや言葉のインパクトはそのままに、よりハードなサウンドを指向するようになった2000年代。楽曲の変遷はそのままJ-POPの歴史を見ているようであり、ロックをベースにしたJ-POPの進化の過程を見るようでとても見応えがある。サポートメンバーのクオリティも非常に高く、バンドの演奏は世界レベルで一分の隙も無い。ロックバンドとしてのB’zのすごさを改めて実感するだろう。

 また、楽曲からだけでは感じられない2人の素の表情も魅力で、2人の表情がこんなにもたくさん見られるのは貴重だ。いつもは渋い表情の松本のコール&レスポンスの時の笑顔や、最後の「おつかれ~」を言うときの稲葉の柔和な笑顔。『B’z LIVE-GYM 2011 -C’mon-』の最後の稲葉の「気持ち良かった~」も心からの声という感じだ。この機会にB’zのライブをたくさん見て、彼らのたくさんの魅力に気づいて欲しい。(榑林 史章)

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