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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み
伊藤 さとり
俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ
アス
19/9/6(金)
TOHOシネマズ 日比谷
この人の書く脚本は、面白いのに社会性も反省されていて、天才という言葉がしっくりくるんです! 前回の『ゲット・アウト』なんて、観た瞬間、興奮を抑えられず、会う人会う人に伝え歩いたんですが、お化けが出てくるホラーではなく、人間の恐ろしさを描いた、正真正銘のホラーなのであります! そうお化けより怖いのは、“何かをしでかしてしまう”人間なのですもん。ジョーダン・ピール監督自身のルーツから生まれ落ちた物語は、肌の色が違うことからの格差や、奴隷制度への非難をシニカルに綴ったのが前作とすれば、今作は、人の貪欲さが生み出す格差問題といったところ。これも人を人として扱わない奴隷制度を形を変えて表現したもののように感じるのです。 しかも、この監督の驚くべき点は、ストレートに描かず、SFとして予想外の展開を楽しませてくれるところ! 今回は、冒頭からまるでお化け屋敷に入るかのようなゾクゾクを体感させてもらい、突如、目の前に現れる同じ風貌の人影から、まるでジェットコースターに乗っているかのような心臓バクバクへと昇天させてくれます。 さらに、主演のルピタ・ニョンゴの演技に惚れ惚れ! もうアカデミー賞の主演女優賞を勝手にあげたくなる始末! ラストのラストまで大満足の演出でございました。
19/9/2(月)