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365日アート情報を発信する人気ブロガーが教える、今見るべき話題の展覧会

Tak

美術ブロガー

Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる

接点も何もない、東勝吉(絵画)、増山たづ子(写真)、シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田(彫刻/絵画)、ズビニェク・セカル(彫刻/絵画)、ジョナス・メカス(写真/映像)の5人を紹介する展覧会。 5人の生涯に共通するところは皆無に近く、そもそも本人がアーティストであると認識していたのかもはなはだ疑問な顔ぶれです。 昨年開催予定が新型コロナの影響で一年延期に。準備を進めていた数年前とはまるで違う世界となってしまった今を見越していたかのような人選に驚いてしまいます。 新型ウイルスは人々を分断し、面と向かって話すことさえ許さぬ想像だにしなかった状況を作り出しました。この展覧会で紹介されている一見繋がりのない5人の作家?たちに共通することは、作品を高値で売ろう、有名になりたい、後世に名を残したいといった通俗的な考えは全く見当たりません。 写真を撮ることが好きだから、絵を描くのが老後の生きがいだからというように、精神的な糧、心の拠り所だったものばかりです。 打算的で人と比べて浮かれたり落ち込んだりしている毎日を送っている我々が、遠い昔に失ってしまったものを絵画、彫刻、写真、映像でそれぞれ表現しています。会場内で紹介してあるそれぞれの作家が残した言葉は、どんな人生の指南書よりも心の奥底に届くはずです。 誰かに頼まれたから、有名になりたいから…そんな世界とは全く無縁な、ある意味でとてもピュアな作品たちは、俗物である私の目にはどれも眩しいほど輝いて見えました。 展覧会を企画担当した東京都美術館の中原淳行学芸員が、自分の足と目で日本だけでなく世界を駆け巡り見つけてきた珠玉の5人が織りなす極上の展示です。

21/8/6(金)

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