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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

オーファンズ・ブルース

「ぴあフィルムフェスティバル2018」グランプリ、なら国際映画祭ほか国内映画祭で多数受賞したインディーズ映画界の話題作は、京都造形芸術大学映画学科の卒業制作だ。生田斗真、永瀬正敏、行定勲監督らも絶賛している。 脚本・監督はこれが劇場デビュー作となる工藤梨穂氏。出演者も同大学の学生たち。主演の村上由規乃は、奥田瑛二主演の『赤い玉、』(監督・高橋伴明)のヒロイン、主要キャストの辻凪子はNHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』に出演するなどプロの世界で早くも活躍している。 記憶を失いつつあるヒロイン、エマ(村上)が道中、友人やその恋人と出会う中、行方不明の幼なじみヤンを探す旅をするロードムービー。工藤監督は「夏は、終わったのではなく、死んでしまったのではないだろうか?」との寺山修司による一節にインスピレーションを得て、物語を紡いでいったという。 ヒロインの村上は撮影の1か月前から、劇中で登場する青いノートを渡され、自分が目にしたものを綴っていったが、「それが演技にどう作用しているから分かりません」と話す。辻は「出番がないときは、お昼ご飯を作ったりもしました。私はコメディーが多くて、しっとりした役は難しかった。工藤監督が普段とは違う面を引き出してくれた」と語る。 ストーリーは明確ではない。よく分からない部分もある。しかし、画力、登場人物の生き生きとした魅力が、物語を牽引する。きっと、この映画は100%理解しなくてもいい。むしろ、感じる映画なのだろう。そう勝手に解釈する。監督や出演者は、言葉にできない思いがあるからこそ、スクリーンに焼き付けたのだ。6月6日までの限定公開。新たな才能の登場を見逃さないように!

19/5/29(水)

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