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インディペンデント、自主映画、ドキュメンタリー、映画祭、特集上映などを中心に

水上 賢治

映画ライター

アングスト/不安

表面だけでとらえれば、シリアルキラー映画、ホラー映画、スプラッター映画といったことになるのだろう。ただ、そうしたジャンル映画にとどまる内容ではない。 1983年のオーストリア映画である本作は、連続殺人鬼の心の中を精緻に検証していきながらも、分かったふりをしない。理解不能とも理解できるともしないで、殺人鬼の異様な行動をそのままこちらへと差し出す。ゆえに殺害シーンはリアルすぎて、もはや殺人鬼役のアーウィン・レダーの演技は演技と思えないほど生々しい。 このあまりに残虐なシーンにはショックを受けるかもしれない。ただ、それよりも、作品が40年以上経ったいまこの殺人鬼がどこか異様に見えない。なぜか身近にいそうと思えてしまう時代にいまがあることが、実はいちばんショックなのかもしれない。

20/7/5(日)

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