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映画史・映画芸術の視点で新作・上映特集・映画展をご紹介

岡田 秀則

1968年生まれ、国立映画アーカイブ主任研究員

サタンタンゴ〈4Kデジタル・レストア版〉

1995年、第4回山形国際ドキュメンタリー映画祭の審査員としてタル・ベーラ監督が来日した。その際に審査員作品の枠で行われた上映が、筆者と『サタンタンゴ』との出会いである。当時この映画は紛れもない新作だったが、以降何度か行われた映画祭上映に立ち会った人々による熱っぽい言葉が、山形から24年後の劇場公開の気運を培ったのだと思う。 映画産業が強いるどの規範にも、政治や社会通念がはめようとするどんな枠にも収まらない映画だった。唯一の頼りは、438分を貫く画面そのものの強度だ。言わば『サタンタンゴ』は、ハンガリーの荒野から重々しく、だが鮮烈に断行された、その強度の探求そのものである。 もし途中で眠くなれば、眠っても一向に構わないと思う。そんなことを気にしなければならないほど、『サタンタンゴ』は小さな映画ではないからだ。映画史には、ときどき「この映画を観てしまった人生」と「この映画を観ずに終わった人生」に人間を分けてしまう作品がある。『サタンタンゴ』は、その典型である。

19/9/9(月)

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