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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

クローゼット

古い洋館で偶然見つけたクローゼットといえば、C.S.ルイスのファンタジー小説『ナルニア国ものがたり』を思い出しませんか。中に入ると魔法の国へ行くための入口になっていて、もうそれだけで胸がわくわくします。一方、本作の場合は娘の行方不明事件解決のカギは自宅のクローゼットの中にあると父親がにらみながらも、解決の糸口さえ見つけられないホラー・ミステリーです。『神と共に』シリーズのハ・ジョンウと『殺人者の記憶法』のキム・ナムギルによるビッグ・スター2人が初共演した話題作ですが、怖い作品は苦手という人にも十分に楽しめる内容です。 たとえば怖さを演出するためヒッチコックのある有名作品のシーンを取り入れオマージュを捧げたかと思えば、また別の場面ではハ・ジョンウの出演した大ヒット作がなぜか話題にのぼり、キム・ナムギル扮する男に「(自分の作品を)見てないのか?」と言わせ、父親役のハ・ジョンウには「見てない」とクールに答えさせるなど「遊び心」も十分です。 名子役を輩出する韓国映画界ですが、行方不明になった娘イナを演じたホ・ユルの才能にも驚かされました。無邪気に笑うイナが突然憑依したように不気味な目つきに変わる場面など様々な表情を使い分けていく表現力を見ると、新たな名子役誕生を実感します。

20/12/17(木)

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