欧米とアジアのテイストを併せ持つホラー映画が韓国作品に増えてきた。 事故で妻を亡くした男と心を閉ざした娘。お互いの悲しみを吐露し合えれば良かったのに、ぎこちなくなってしまった父娘関係を修復しようと、父親は新居で再出発を図る。その新居にあるのが、タイトルにもなっている件の“クローゼット”。 今作では様々なクローゼットが登場する。行き止まりの“扉”はいつだって異世界との通り道だ。これまでにも多くの欧米ホラーで描かれてきたが、“扉”といえば“隙間”がもれなくセットだろう。“隙間”が作り出す恐怖は今作も然り、いつだって格別だ。 古今東西、寂しい子供には悪い霊がつけ入りやすい。オーソドックスな下地の上に、アジア通貨危機という社会問題も忍び込ませ、消えた娘を追って父親と祈祷師が奮闘するある種のバディ・ムービー、新鮮だ。

20/12/18(金)