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映画史・映画芸術の視点で新作・上映特集・映画展をご紹介

岡田 秀則

1968年生まれ、国立映画アーカイブ主任研究員

ようこそ、革命シネマへ

昨年、山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映され、がっちりと魅了された一本だ。1989年の軍事クーデター以降、アフリカのスーダンでは映画業界が解体されて映画を撮れなくなった。その中で、時々ささやかな上映会を開いているだけの4人の老監督が主人公だ。彼らは「スーダン映画協会」の名で、かつてのフィルムだって保存している。 みんなモスクワやドイツの映画学校を出たエリートだが、そのおじいさんたちが突如立ち上がり、閉館した映画館を借りてなんとタランティーノの『ジャンゴ 繋がれざる者』(!)を上映しようとする。そこからして、かっこいいではないか。新作といえども、西部劇なら彼らの世代にも親しい映画に違いない。 監督のひとりがラクダを連れてきて、映画館とは何かを説明するシーンがポエティックで素晴らしい。今は新作を撮ることのできない、彼らの昔の作品のフッテージが時々挟まれるのも切ない。見るからにダンディなおじいさんもいて、その所作には、少しだけ『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を思い出したりもした。また、当局の許可を待ち、時間を耐える描写には、同じヴェンダースの、撮影の資金繰りを待つロケ隊のやるせなさがひたすら美しい『ことの次第』を想起したりもした。 過剰に派手めの日本題にはやや首を傾げたが、自由なき国に映画の復活を期す気持ちが込められているのは分かる。ハルツームの郊外に人知れず漂う映画のダンディズムを味わっていただきたい。

20/6/7(日)

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