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パール兄弟、作詞家、プロデューサーとして、音楽を中心に活動中

サエキけんぞう

ミュージシャン

みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術

美女の線画、フランス風……。ミュシャの絵は誰もが観たことがあると思うがそれが現代にどんな影響を与えたか?はすぐに言えないと思う。 そもそもミュシャはチェコスロバキア人、スラブ人、しかし彼がパリに足を踏み入れたのは1887年だ。1900年に開かれ、20世紀を作り出したといわれるパリ万国博覧会のために、すでにエッフェル塔の建設が始まっていたという。その冒頭に胸が高鳴る人は多いだろう。近代から現代美術へ、ポスター、アール・ヌーヴォー、そう彼こそは現代グラフィックとアートの父なのである。 しかもロック・アートやマンガなど、サブカルチャー文化に直結で影響を与えている。そんな事実について、深く教養を深められるのがこの展覧会なのだ。ロック・マンガオタクの友達に自慢できるようになること請け合いである。 ミュシャは、女優サラ・ベルナールの劇場ポスターをてがけることによってチャンスを掴む。現代的なアーティストのチャンスがいかにやって来るか? 原点のような物語を堪能できる。ポスターを中心に代表作を楽しんだ第二部は、現代アートに与えた影響のコーナーだ。有名なグレイトフル・デッドはもとより、キング・クリムゾンやイエス、そしてローリング・ストーンズ。展示されたジャケットはミュシャそのもの。「サイケデリックとは何か?」を学ぶ素晴らしい展示だ。デザインがどういう基礎を元に描かれるのか? その奥の院が開帳されている。 そして本展覧会の白眉は、当代きっての大女流漫画家の告白を含むラストコーナー。山岸涼子、松苗あけみ、水野英子らの原画が、ミュシャへの愛の告白を伴って展示される。今回も、絶対に借りるべき音声ガイドでは、松苗あけみ、そしてゲーム『ファイナルファンタジー』の巨匠、天野喜孝が、肉声でコメントを寄せている。それがメチャ興味深い。天野の原画の迫力も素晴らしい。 多面的にミュシャを理解できる、意欲的な展覧会である。

19/8/10(土)

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