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白坂 由里
アートライター
高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの
19/7/2(火)~19/10/6(日)
東京国立近代美術館
『かぐや姫の物語』の赤ん坊時代のでんぐり返しの描写を、外国人青年が丁寧に観ていた。わたし自身は『アルプスの少女ハイジ』と『かぐや姫の物語』に共通するおてんばな少女像に、作品を通して「自由に生きなさい」というメッセージを送ってくれていたのかとも思った。 俳優の動きを撮影してから絵を描くライブアクション、水蒸気や光など形のないもののニュアンスを描写する背景画、共同制作者の起用、音楽のつけ方などなど、実写ではないが映画であるアニメーションにおける「演出」とは何か。2018年に遺品のなかから見つかった最新資料を含む膨大な資料を分析、解説している。実現をみなかった1960年代の『ぼくらのかぐや姫』が『かぐや姫の物語』に成就するまでの物語でもある。山田くんやチエちゃん、アンやタエ子にも会えて楽しかった。
19/8/9(金)