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水先案内人のおすすめ

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夏目 深雪

著述・編集業

アイダよ、何処へ?

『サラエボの花』では紛争の爪痕を、『サラエボ、希望の街角』ではイスラム原理主義に傾倒する女性を描いたヤスミラ・ジュバニッチの新作。ボスニア紛争の終盤にボスニア東部スプレニツァで起きた8000人以上にのぼるボシュニャク人の住民処刑を扱う。 題材の重みとセンセーションだけでなく、シャープな作劇が特徴のジュバニッチ監督。今作も国連保護軍の通訳として働くボシュニャク人のアイダを主人公にしたことによって、自分の夫と息子のみ助けようとする彼女のエゴも映し出すことになる。描かれる惨劇は徹底したリサーチにより凍り付くようなリアルさがあり、国連軍の無能ぶり、奔走するアイダなど悪夢の展開も有無を言わさない迫力。必見の傑作。

21/9/8(水)

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