Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

新進女優や新たな才能にフォーカスした作品を中心に紹介

イソガイマサト

フリーライター

騙し絵の牙

『罪の声』の原作者・塩田武士が大泉洋を主人公にあてがきした同名小説のあらかじめ約束されていた映画化だが、大泉が同じ雑誌編集者の主人公・速水に当然扮した本作は、“生身の彼”が使える映画ならではの表現と驚愕の脚色で原作に対抗しているところが気持ちいい。 小説を読んでいない人は気づかないだろうが、構成がまったく違う。原作にはほとんど出て来ない松岡茉優の演じる新人編集者・高野を映画の動力にし、原作のある種の謎の答えとも言える速水の過去や背景をすっぱりカット! 大泉のパブリックイメージと演出による“違和感”を巧妙に操作する大胆不敵な手法で突き進み、原作小説が描く雑誌業界のリアルな現状と速水の“光”と“影”をまんまと炙り出すことに成功しているのだ。 そこは流石、『桐島、部活やめるってよ』(12)などの奇才、吉田大八監督! 劇中の騙し合いバトルの鮮やかな筆致と小説世界の鮮やかな視覚化が掛け算になり、観終わった後の爽快感も倍増する。

21/3/24(水)

アプリで読む