描かれるのは"SNS上で別人格になることで解放される精神と、その果てに待ち受ける破滅"…という現代的なテーマ。 若い女性と偽りSNSで若い男性と親密になっていくヒロインは、満ち足りたウキウキな毎日を過ごすようになるが、その関係性に依存するあまり自らの実生活を侵食させていってしまう。 「SNSに浸っている人の姿は端から見ると気味悪い」という精神的異形を全身全霊で表現してくるジュリエット・ビノシュがとにかく強烈だった。静かな狂気の中に危うさと切なさとを内包させ、そこに生きる喜びを見出だしてしまった人間の心理を生々しくもスリリングに伝えてくる。 繊細に紡ぎあげられた演出も展開も秀逸。実に見事な心理サスペンス。

20/1/14(火)