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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

俳優生活55周年記念 渡哲也―わが青春の日活撮影所

『野獣を消せ』1/25〜1/31 神保町シアター 「俳優生活55周年記念 渡哲也――わが青春の日活撮影所」(1/11〜1/31)で上映 渡哲也の俳優生活55年を祝う映画祭で、主演作15本が上映される。1965年(昭和40年)、『あばれ騎士道』で映画デビュー、石原裕次郎の次代を担うスターとして再映画化版『嵐を呼ぶ男』『陽のあたる坂道』に主演、名実ともにスターの仲間入りを果たした渡哲也。 『野獣を消せ』は、61本を数える日活時代の渡哲也出演作の掉尾を飾るアクション映画の傑作だ。藤田敏八、小澤啓一、澤田幸弘とともに〈日活ニューアクション〉を支えた長谷部安春監督の代表作でもある。 舞台は、米軍軍用機が大音響をあげて離着陸する基地のある荒廃しきった街。アラスカで獣を狩るプロハンター役の渡の武器は、『無頼』シリーズの黒ドスから狩猟用のライフルに変わっている。野獣のような街の愚連隊に妹を殺された渡は、そのライフルで次々と"野獣を消し"ていく。 『無頼』での革ジャンに雪駄履き、ドスをのんだ一匹狼の時代は終わったと感じた脚本の永原秀一と中西隆三、監督の長谷部が、渡のイメージを都会的なアウトローへと一変させた。 カウボーイ・ハットとポンチョ・スタイルの荒野のガンマンから、スーツ姿でマグナム銃を武器にする刑事ハリーに変身したイーストウッドと似ている。 ライフル弾を被弾した野獣たちの手足が千切れ、内臓が飛び散るガン・ファイトは凄絶で、黒澤明監督作品『用心棒』で野良犬が人間の腕を咥えて登場するショッキングなシーンを連想させて秀逸。 プロハンターを好演した渡のイメージは、『ゴキブリ刑事』を経てテレビ・ドラマ『西部警察』へと繋がっていく。認知度は高くないが、渡哲也の代表作の一本としておススメしたい。

20/1/23(木)

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