評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり
紀平 重成
1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)
あなたの名前を呼べたなら
19/8/2(金)
ル・シネマ
歌と踊りのインド映画というイメージを根底から覆させてくれる作品です。それは農村出身のメイドがムンバイの裕福な御曹司の邸宅で身の回りの世話をするうちに階層差を乗り越えて愛をはぐくむという奇跡のようなお話だからです。 メイドが主人公のお話と言えば香港映画『桃さんのしあわせ』(ディニー・イップ)や『みじめな人』(アンソニー・ウォン)を思い出しますが、身分差別が濃厚なインドでは雇い主と使用人の関係はせいぜい尊敬や友情までが想定内なのかもしれません。 二人の関係はどこまで進むのか、また周囲の理解は得られるのか。ウォン・カーウァイ監督の『花様年華』で「抑制」の働きを学んだというロヘナ・ゲラ監督による美しい演出を最後までご堪能ください。
19/7/30(火)