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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる

村山 匡一郎

映画評論家、大学講師

フィールズ・グッド・マン

アメリカの人気コミック『ボーイズ・クラブ』のキャラクターであるカエルのぺぺのことは、恥ずかしながら知らなかった。そんなぺぺが彼の決め台詞である「feels good man」(気持ちいいぜ)とともにSNS上で人気アイコンとなり、やがてその姿が凶暴化して極右やトランプ支持者のシンボルになる過程を追ったドキュメンタリーだ。人気キャラが作者の手を離れて独り歩きすることはよくあるが、アメリカの現代社会で政治的なシンボルとなるのは珍しいのではないか。作者のマット・フューリーは著作権訴訟を起こし、ぺぺの葬式を描いたコミックを出版するが、時すでに遅しである。もとの文脈から離れてシンボルとして活性化するぺぺの姿は、近年のアメリカ社会を鮮明に浮き彫りにしているようで興味深い。

21/3/7(日)

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