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三鷹市芸術文化センターで、演劇・落語・映画・狂言公演の企画運営に従事しています

森元 隆樹

(公財)三鷹市スポーツと文化財団 副主幹/演劇企画員

牡丹茶房『山猫/辺獄の葡萄』

2013年に烏丸棗(からすま なつめ)が旗揚げした『牡丹茶房』を初めて観たのは、2016年3月『縋り雨』(作・演出:烏丸棗/会場:花まる学習会王子小劇場/「佐藤佐吉ユース演劇祭」参加作品)だった。 <<<>>> 「私まだ、娘でいたいの」 これは”母”の物語であり、”家族”の物語。 <<<>>> とチラシに記されていたその舞台は、丁寧に丁寧に重ねていった感情の薄皮を、傷跡が残るかどうかなどまるで気にすることなく剥がしていくような親と子の心の軌跡が描かれ、透明感が際立つ照明とともに導く演出も見事であり、2時間を超える作品でありながら、冗長さを全く感じることのない、緊張感に満ちた素晴らしい舞台であった。 その烏丸が、『山猫』そして『辺獄の葡萄』の2作品を同時に作り上げ、それぞれの作品に、違う役者を立てて上演に臨む。 <<<>>> 『山猫』 男ばかりが暮らす山奥の集落で、飼育されている獣がいた。 愛情を知らずに育った獣は、狭い檻の中を這い泥を啜る。 攫われてきた女は、獣に手を差し伸べた。己を人だと教えるために。 母性に触れた獣が正気を取り戻すまでの物語。 『辺獄の葡萄』 主人公が迷い込んだのは、女ばかりが暮らす奇妙な村だった。 村には沢山の葡萄が実り、辺りは甘い香りに包まれている。 そこで主人公は村唯一の男に出会う。彼は甲高い声で「逃げよう」と言った。 山奥に蠢く女の執着と、男の狂気についての物語。 <<<>>> 角度の鋭いセリフで人の心の儚さを描き出す烏丸が、どんな筆を見せるのか。期待したい。

19/6/6(木)

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