昨年11月に亡くなったディエゴ・マラドーナ。サッカー王国アルゼンチンの英雄として死後の騒動の報道も記憶に生々しい。そんなマラドーナの生涯を、現存する記録映像で構成したドキュメンタリーだ。少年時代から「ボカ」での活躍も興味深いが、1984年に移籍した「SSCナポリ」時代がやはり目を惹きつける。このナポリ時代こそ彼のサッカー人生でもっとも華やかな時期であり、1986年W杯準々決勝のイングランド戦で見せた「神の手ゴール」や「5人抜きドリブル」という伝説的なプレーの一方、私生児問題、マフィアとの交際、麻薬問題をめぐるスキャンダルが知れる。まさに“ふたつの顔”だが、誰の人生にも見られる裏表ともいえる。サッカー・ファンならずとも人生ドラマとして心に響くにちがいない。

21/2/3(水)