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古今東西、興味のおもむくままに
藤原えりみ
美術ジャーナリスト
志賀理江子 ヒューマン・スプリング
19/3/5(火)~19/5/6(月)
東京都写真美術館
志賀理江子は、この世ならぬ気配やあり得ない情景を生と死を媒介するイメージとして出現させてきた。2008年に志賀が移住した宮城県名取市北釜では、東日本大震災の津波により多くの人々が亡くなった。震災後、「喪とイメージ」の回路を切り拓く彼女のスケールはさらにアップしたようだ。 展示室に並ぶ縦180×横270×奥行760cmの立方体20個を覆う巨大な写真。立方体の森を歩き回りながら、日常と異界を往還するかのような不思議な情景を眺めていく。そして展示室の最奥から入口を振り返ると、20個の立方体に出現するのは胸から上を赤い塗料で塗った巨大な男性の顔。彼は誰なのか、なぜ顔が赤いのか……。戸惑いつつも観客は...
19/4/25(木)