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水先案内人のおすすめ

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ギャラリーなどの小さいけれども豊かな展覧会・イベントを紹介します

白坂 由里

アートライター

へんしんっ!

PFFアワード2020グランプリ作品。2019年のグランプリ『おばけ』(中尾広道監督)もそうだったが、生活を通して、映画のつくりかた、それ自体からつくられた、模索とユーモアと愛のある映画だ。映画のなかで石田智哉監督が「一方的に指示する暴君的な映画制作はしたくない」と悩みを打ち明けていたが、その後、撮影の本田恵、録音の藤原里歩とどんな話をしたか。映画監督像も変わる映画だ。インタビューに行く石田監督自身が次第に撮られる側になり、周囲の人々もゆるやかに巻き込まれていく。 電動車椅子を使って生活する大学生の石田監督は、「しょうがい者の表現活動の可能性」を探り取材をしていく。振付家でダンサーの砂連尾理と出会い、自分から遠かったダンスを通して自身を開いていく石田監督。ろう者でパフォーマーとして活動する佐沢静枝、全盲の俳優・脚本・演出家の美月めぐみ、美月が所属する劇団の主宰で俳優・脚本・演出家の鈴木橙輔(大輔)、手話通訳者の木山直子が次第にダンスでつながっていく。静かな波のようだった。 「個にこもらずに、でも他人に寄り添いすぎずにいる」という砂連尾の言葉が、手のダンスや白杖のダンスにも現れていた。ダンサーの川村夏子も登場するし、篠崎誠が撮影応援でカメラを回したところもある。日本語字幕をスクリーンに映し、音声ガイドを劇場内のスピーカーから流す「オープン上映」も、それぞれの理解の仕方が交差する豊かな試みだ。

21/6/27(日)

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