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水先案内人のおすすめ

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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

シンプルな情熱

セックスについて、えげつないまでに生々しく描かれた作品だ。さすがフランス映画。 パリの大学で文学を教える女性がハンサムなロシア人男性との肉体関係に溺れてしまう。既婚者である男にとって彼女はただ性欲を吐き出すための相手でしかなく、身体を交え終えたらとっとと帰る。それだけの関係にもかかわらず、彼女は夢中になり、自身の仕事や生活もままならなくなる。その様が、赤裸々な性描写の連続の中に克明に描かれていく。 学生には女性の自立を説く一方で、自身は心身ともに男に依存。そこに映し出されるのは、理性ではどうにもならない欲望の姿だ。 男のことしか頭になくなり、大学の研究活動や仕事もシングルマザーとしての子育ても交遊関係もおろそかに。やがて男は離れ、彼女は精神を病み何も手につかなくなってしまう。 知性や理性をはぎとってしまう性愛の業の深さがこれでもかと突きつけられる。さらには、急に相手に醒めた時のどうにもならない心情までも掘り下げられており、その繊細かつ凄絶な心理描写に心底から恐ろしくなる映画だった。

21/7/2(金)

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