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水先案内人のおすすめ

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新進女優や新たな才能にフォーカスした作品を中心に紹介

イソガイマサト

フリーライター

ドライブ・マイ・カー

奇跡の大傑作『PASSION』(08)から『寝ても覚めても』(18)まで、映るものすべてをコントロールする、芝居のメソッドに則った確かな演出で数々の傑作を発表し続けてきた濱口竜介監督の最新作。村上春樹の短編を映画化してカンヌ国際映画祭の脚本賞ほかに輝いた本作は、小説の世界に原作のモチーフになっている『ワーニャ伯父さん』などの演劇的要素を大胆に取り入れながらも、愛と喪失、再生を描く物語の重要な部分を小説以上に走る車の中で描くことに徹していて刺激的だ。 舞台演出家兼俳優の主人公・家福を演じた西島秀俊、彼の専属ドライバーになるみゆき役の三浦透子のやりとりと温度も面白い。だが、何よりも驚くのは若手俳優の高槻を演じた岡田将生だろう。多彩な役を休む間もなく演じ続け、近年ぐいぐい独自の輝きを放つようになってきた岡田だが、本作では彼のスゴさを改めて知ることになる。特に、映画の核心に迫るクライマックスの岡田将生は圧巻だ。小説ではやりたくてもできない彼の繊細な声の表現と強度のある表情がなければ、『ドライブ・マイ・カー』の実写化は成功しなかったかもしれない。

21/8/21(土)

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