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山内宏泰
ライター
伊庭靖子展 まなざしのあわい Yasuko Iba, A Way of Seeing
19/7/20(土)~19/10/9(水)
東京都美術館
すべては光だな。光あればこそものは見えるのだし、生命も存在できる。この世で最も普遍的なもの、それが光だ。となれば、ものを描く人は、描くことを追究すればするほど、光そのものを対象とするようになっていく。レオナルド・ダ・ヴィンチもフェルメールも、ドラクロワもモネもみな、光そのものに肉薄しようともがいたのだった。 伊庭靖子もまた同じ。版画制作からキャリアをスタートさせた彼女は、やがて油彩画に取り組み、布地や陶器などのクローズアップを多く描いてきた。それ自体は無個性な静物を飽かず描くのは、モノよりもそこにたゆたう光とその効果をとくと観察しているからだろう。伊庭の作品に描かれる小さい世界が驚くほど劇的で、かつかけがえのないものとしてこちらの目に届くのは、彼女が真摯に光を探究し続けているからだ。 そんな作家の50点以上に及ぶ版画・映像・絵画作品を堪能してほしい。
19/8/10(土)