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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

ボクたちはみんな大人になれなかった

しばらく会っていない友人たち、恋人が出てくる夢を見た。きっと、この作品を観たせいなんだろう。90年代後半からコロナ禍の今まで、当時のカルチャーとともに、主人公(森山未來)がかつて好きだった女性(伊藤沙莉)を始め、友人との交流を思い返す……ストーリー。 不安な毎日をどうにかやり過ごす中、ふと思い返す恋人の言葉。「キミは大丈夫だよ、おもしろいもん」。それには何の根拠もないのかもしれないが、それがどこか心の支えになるという経験は誰しもがしているはず。 アルバイト雑誌「an」の文通欄をきっかけに出会ったふたりが対面し、初めての夜を迎えるシーンには胸を締め付けられる。ここでは、ヒロインの伊藤沙莉が文字とおりの体当たり演技を見せる。 40代以上には懐かしいカルチャー、アイテムがいっぱい。Netflix製作とあって、予算もふんだんにかけているのが伝わってくる。90年代のシーンでは、ウォン・カーウァイ監督の『天使の涙』がシネマライズで上映されているというシーンもあって涙モノ。また、緊急事態宣言下で、人がいなくなった新宿、渋谷も、あの時しか撮れなかった光景だろう。いろいろと胸の奥にしまったモノをかきたてられる。

21/10/29(金)

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