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話題作、アート系作品を中心に
恩田 泰子
映画記者(読売新聞)
ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた
19/6/7(金)
ヒューマントラストシネマ渋谷
大人になりきれない自分にお悩みの方に、特におすすめしたい一本。 NYのブルックリンで17年間、レコード店を営んできた、中年の元バンドマン(ニック・オファーマン)と、音楽の才能にあふれた一人娘(カーシー・クレモンズ)、ビタースウィートな「旅立ち」の物語だ。 男はきつい状況にある。時代の波に押されて店はじり貧、老いた母からも目が離せなくなってきたし、もうすぐLAの医大に進学する娘の学費も必要だ。そんな中、父娘でセッションしてみたところ、自信作ができて……。 思い切り時代遅れになってしまった父親だけど、彼が信じる音楽の力は不変。甘くはないが苦いだけでもない物語に説得力をもたらすのは、数々のオリジナル曲。役者たちも魅力的な、愛すべき一本だ。
19/6/4(火)