「身体」や「自己と他者の境界」などをテーマに据えて、ドローイングからペインティング、針金やネオン管を使った立体作品までと、幅広い創作活動を展開しているのが川内理香子だ。 初の画集刊行を機に、ドローイング作品約30点を並べた個展が開催されている。彼女のドローイングは線の数も色数も少なく、余白もたっぷりあってごくシンプルなものに見える。それなのに、なぜか一点ずつを眼にしたときのインパクトは強烈で、何点も立て続けに眺めたら最後、腹を抉られるようなダメージを受けてしまう。 とりわけ、頻出する濃い赤色に出くわしたときはショッキングだ。いきなり裏返しにした人体の、内部の秘所を見せつけられるような気分。グロい、でもその分、美しい。シンプルな画面の中で何かとんでもないことが起きている川内作品、ぜひ実地に触れてみたい。

20/12/5(土)