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映画史・映画芸術の視点で新作・上映特集・映画展をご紹介

岡田 秀則

1968年生まれ、国立映画アーカイブ主任研究員

窓展:窓をめぐるアートと建築の旅

いまさら言うまでもないが、絵画も写真も映画も、例外はあれども基本的には四角いものである。それがなぜなのかを答えることは難しいが、四角いゆえに、そうしたアート作品を世界への窓として暗喩的に捉えることもできる。『窓展』は、芸術の中に現れる窓の表現や、建築に欠かせない窓自体はもちろん、作品自体が窓のような性格を持つものまで、自由な想像力で「窓」を思考する企画だ。 映画の視点からは、二つのポーランド作品がなんとも面白い。ユゼフ・ロバコフスキの『わたしの窓から』は、集合住宅の高い窓から眺めた下界の風景とその移り変わりを、作家自身のナレーションとともに見るという趣向。通行人ひとりひとりの実名を挙げ、職業やら人物評価やら、とめどなく呟き続けるロバコフスキ。赤の他人の話なのにいつしか見入ってしまう。私たちの覗き見趣味をくすぐってくる点でも、一筋縄では行かない作品だ。そしてズビグニエフ・リプチンスキの『タンゴ』は、もはや世界実験映画史上の名作と言っていいだろう。小さな部屋が、自動人形のような人間どもで徐々に満たされてゆく様は、ユーモアであり同時に眼の快楽でもある。 全体としても、観た後の気分が爽やかな展覧会だ。

19/11/29(金)

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