昨年、マンハッタンで開催のトライベッカ映画祭でこのファイナル・カットが公開された時は驚いた。40年前の1979年に公開のオリジナル版は153分、2001年の特別完全版は202分。そして今回のファイナル・カットは182分だが、大括りな印象では特別完全版をスリムにした感じだ。私は初公開時以来の絶賛派だが、特別完全版は未知なるカットを観られて嬉しかったものの、作品の質が上がったとは思えなかった。今回は、その特別完全版からプレイメイトとの再会シーンやプランテーションのフランス人一家との食事シーンの一部をカットするなど細かな「剪定」がなされている。笑ったのはワルキューレが鳴る時のある些細な音の効果で、それは観てのお楽しみとしておこう。いずれにせよ、画も音もデジタル修復で鮮やかになっているので観て損はないバージョンである。

20/2/25(火)