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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み
伊藤 さとり
俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ
騙し絵の牙
21/3/26(金)
丸の内ピカデリー
大泉洋をイメージして生み出された原作は、大泉洋の“ダークサイド”の魅力を惜しみなく発揮させる映画へと昇天。しかも吉田大八監督が『桐島、部活やめるってよ』で才能を発掘した松岡茉優から始まる小説の中に入り込む映像作りから、間違いなく面白い映画だと確信してしまう。 そこにジャーナリスト役で小林聡美が出版社の裏側を語り出したと思いきや、作家大先生としていつもと風貌が違う國村隼がシャンソンを歌いながら怪しい匂いをプンプンさせて姿を現し、佐藤浩市、宮沢氷魚、池田エライザなど次から次へと主役級の役者が顔を出すのだからもう全集中で映画を観なければいけないという使命感に駆られ。それも登場人物全員がしっかりと個性を輝かす場を与えられ、皆がワクワクしながら演じているのが伝わってくるから楽しいのなんの。 原作の面白さだけでなく、実力ある俳優陣が血を通わせたキャラクターになって物語を動かしていくには、脚本の面白さとそれぞれの役者へのリスペクトも影響しているのかもしれない。しっかりと状況を見せながらテンポあるセリフの掛け合いとダイナミックな編集で気づけばエンドロール。お陰で2度観ちゃったわ。
21/3/7(日)