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山内宏泰

ライター

【緊急事態宣言中休館】テート美術館所蔵 コンスタブル展

19世紀前半に英国の田舎で描かれたコンスタブルの風景画は、いまの眼で見れば保守的なものに思える。 でも制作当初は、かなり革新的だったことだろう。当時はまだ上等な絵といえば歴史画であり、そうでなければしかるべき人物をモデルとした肖像画でも描かなければ、ろくに評価もされなかった。それなのに平然と風景画を手がけているところが、すでに並外れている。 しかもコンスタブルは、風景画を描くにあたって自然を極度に理想化したりせず、眼に映るものを素直に絵にせんと努めた。見えるがままをそのまま描く写実的手法とは、考えてみればなかなか大胆なもの。自分の視点や身の回りにあるものは、大いに価値ありとみなすというわけだから。 自分の「生」に、確固とした意義と意味がある。そう信じられるまでに成熟した市民社会の誕生と、コンスタブルの風景画の出現は、はっきりと連動しているだろう。 コンスタブルの画業の全体像をたどれる今展で、美術の、いや人間の歴史の中でいかにこの画家が大きな存在感を持っているかを、じっくり確認したい。

21/4/7(水)

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