シアーシャ・ローナンという女優は遠い目をしている。決して、心ここにあらず、ということではないのだが、なぜか現実から一歩下がっているように見える。傑作『レディ・バード』でもそうだったが、今回のこの映画では、16世紀イギリスのメアリー・スチュワート女王を演じていて、「悲しい」というのではない、ある種複雑な表情を常にたたえている。ここのところ、『ヴィクトリア女王 最期の秘密』『女王陛下のお気に入り』そしてこの映画と、立て続けにイギリスの女王を主人公にした映画を観たが、共通しているのは彼女たちの孤独である。国のトップというのは孤独なものなのだろう。ましてや、この時期の彼女たちは王位継承権を争って血縁な...

19/3/11(月)