“ミュージカル＝歌って踊って楽しくて、明日も頑張ろうという勇気が湧いてくる舞台”という定説を覆す社会派ミュージカル。この定説が間違っているとは言わないが、そうでない作品だってたくさんあって、どんな題材でも音楽で表現してしまえる懐の深さこそミュージカルの底知れぬ魅力だと信じる筆者にとって、本作の日本初演(2017年)が大きな成功を収めたことは、自分の手柄でも何でもないのについついニヤリほくそ笑んでしまうような出来事だった。 ブロードウェイの一流どころによる良質な脚本と音楽、豪華キャストの真摯な演技に加えて、本作で初めてミュージカルを手がけた森新太郎の演出がやはり大きな見どころ。あの“紙吹雪”は、間違いなく一見の価値ありだ。

21/1/1(金)