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伝説のSF映画評論家が選ぶ、現代のSF、ホラー映画など

中子 真治

1953年生まれ SF映画評論家、飛騨高山留之助商店店主

エンド・オブ・ステイツ

毎度、大車輪の活躍でアメリカを、世界を、テロリストたちから救ってきた大統領直属のスーパーSP、マイク・バニング(ジェラルド・バトラー)三度目の活躍を描く。1作目から6年が経ち、当然マイクもかなりお年を召された感は否めない。が、映画はそこら辺を逆手にとって、激しい戦いの傷痍いまだ癒えない主人公の悩める一面を見せながら、かつてない苦境に彼を突き落とす。 あろうことか、命懸けで守ってきた大統領暗殺の濡れ衣を着せられ、身の潔白を証明するために最新鋭の兵力で武装したテロリスト集団と渡り合うのだ。そんな孤独な戦いに加勢するのが、PTSDが原因で少年時代のマイクと母親を棄て、山にこもった元軍人の父親だ。伸び放題の白髪と長い髭をたくわえたシワクチャの爺さんがいかに戦いに秀でているか、あの息子を推して知るべし。 名優ニック・ノルティがそんな父親をざっくばらんに演じ、いままでの『エンド・オブ』にはなかったコメディのゆとりを、激しい戦闘アクションの合間に見せて新鮮だ。それにしてもどうだ、無数の遠隔ドローン爆弾の情け容赦ない攻撃にはじまり、元軍人が住む山中に張り巡らされたブービートラップが次々に弾ける、弾ける。人も物も吹っ飛ぶ、吹っ飛ぶ。『エンド・オブ・ステイツ』はそういう映画でもある。 映画の終盤、事件を乗り越えて復帰した米大統領(モーガン・フリーマン)がG20の記念撮影におさまるカットで、まさか長閑日本の首相に会えるとは。個人的にはニック・ノルティの白いセーター姿が素敵で、私も今年の冬は白で決めようと思ったのだった。

19/11/14(木)

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