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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの
佐藤 久理子
パリ在住、文化ジャーナリスト
アウェイデイズ
20/10/16(金)
シネマカリテ
2009年にイギリスで公開された、いにしえの問題作が蘇る。 『THIS IS ENGLAND』に『コントロール』と『マイ・ビューティフル・ランドレット』を足し、フーリガン文化を加えたような本作は、サッチャー政権が誕生した1979年、イングランド北西部の陰気な海辺の街が舞台。暴れることでしか鬱屈を放出するしかない若者たちの姿を描く。 地元のギャング集団に入りたい血気盛んな19歳のカーティと、その一員ながら音楽が好きなロマンティストで、街を抜け出したいと夢見るエルヴィス。カーティスは仲間内で一目置かれているエルヴィスに憧れ、一方そんな彼にエルヴィスは、友情とは異なる感情を抱いていく。 音楽はポストパンクのジョイ・ディヴィジョン、エコー&ザ・バニーメン、ジャムなど、この方面が好きな人にとっては垂涎だ。 彼らの抱える苛立ちとエネルギーは、“別の時代”で済ますことのできないなにかを訴えかけてくる。
20/10/15(木)