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演劇鑑賞年間300本、記者歴40年のベテラン
大島 幸久
演劇ジャーナリスト
劇団民藝『地熱』
21/2/6(土)~21/2/14(日)
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
『地熱』の作者・三好十郎が言う「安心できる熱」とは何だろう。三好34歳の時の戯曲だ。物語から始めよう。とある炭鉱町の飲み屋で働く香代は借金暮らしの末、乳飲み子を遠い村に預け、連れ合いと別れ独り身。生きる希望が見つからない。町に流れてきた留吉は渡り人夫。仕事を探しに来たが、お金への執着は底なしの男だ。香代は恋心を寄せるのだが留吉の興味は別にあるらしい。胸に秘めた初心を忘れられないのか。若い男女の愛情の行方は? 若き三好の体験が色濃く込められている。香代を演じるのは飯野遠、留吉は神敏将。民藝初演出の田中麻衣子。劇団最初の上演だ。代表の奈良岡朋子は年頭の挨拶で“演劇の力をとりもどす”と、機関紙に述べている。抜擢された若い力が試される公演である。
21/1/16(土)