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水先案内人のおすすめ

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パール兄弟、作詞家、プロデューサーとして、音楽を中心に活動中

サエキけんぞう

ミュージシャン

DOUBLE FANTASY -John & Yoko(ダブル・ファンタジー ジョン&ヨーコ)

ジョンとヨーコの物語というより、男と女、その愛の究極の姿について考える展覧会といっていい。 もちろん、ビートルズのジョン・レノンと日本の誇るアーティスト、ヨーコ・オノ、ロックが生んだ至高のカップルではある。だが、明らかにこのテンションはロックもアートも超えている。 ふたりは出会いから劇的。その現場となった1966年ロンドンのインディカ・ギャラリーの、ヨーコ個展の展示が再現されている。そこでジョンは天井に書かれた「YES」の文字を見て、運命を決めた。彼の人生における「YES」の意味は重かった。反抗的に見えるジョンはそれだけ、アンチも喰らいまくっていただろう。そこに「YES」が東洋からやってきたのだ。 『ウェディング・アルバム』のジャケットで有名なふたりの結婚式で着用したジョンのジャケットもヨーコのスカートと共に展示されている。ジョンのジャケットのタグにはなんと「ピエール・カルダン」の文字が!カルダンだったんだ。 ふたりのスキャンダラスな「ベッド・イン」も再現され「ヘア・ピース」という、カツラと平和をかけたダジャレのメッセージボード(実物)もある。 詳しく見て行けば、ふたりが初めて結ばれた夜明けの描写も文字でなされている。この日のこの夜明けだったんだ。また「失われた週末」というヨーコと離れて暮らした時期にジョンが乱心する写真も展示されている。全くもって波乱万丈だった二人の関係は、隠すことなく赤裸々に語られている。 アルバム『心の橋、愛の壁』に使われた、幼いジョンが描いた原画や、何回も訪れた日本で、日本語を勉強に描いた「WABISABI」などユーモラスなイラストも魅力的だ。なんというか、やっぱり生涯、絵のタッチは変わらないこともわかる。 そして幼い息子ショーンを抱き歩くための「抱っこ紐」には微笑まずにいられない。主夫の生活感が生々しい(笑)。 出会いから波乱を経て、束の間の平安の日々、悲劇の死まで。この展覧会には、隠すことないふたりの全てがある。 人間がたどり着いた究極の愛の姿、それは喜怒哀楽なビジュアルと、そして素晴らしい音楽作品とアートの数々に縁どられている。

20/12/13(日)

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