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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

新聞記者

こういう時代に、こういう映画を作ったことに、まず賛辞。 この数年の間に現実の「政権」周辺で起きた数々の事件が、フィクションに加工されて描かれる。「内閣情報調査室」というタイトルでもおかしくないくらい、あまり表に出てこないこの情報組織の実態が描かれる。ほんとうにこんなことをしているのかと思うと、愕然とするくらい、恐ろしい。 内閣情報調査室は情報収集をする組織のはずだが、その実態は「諜報・謀略」に近い。この組織に外務省から出向している松坂桃李演じる若手官僚の苦悩が、物語の中心にある。 スクープした新聞記者の側にも、成功の陶酔感も爽快感はない。音楽を含め、全体に抑制されたトーンで、沈鬱さが滲み出る。 いろいろな意味で、現在の日本の「空気」が凝縮されている。「映画はジャーナリズム」という大林宣彦監督の言葉を思い出した。

19/6/24(月)

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