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平山 雄一
1953年生まれ 音楽評論家、プロデューサー
優河「めぐる」 Release Live
19/9/24(火)
Shibuya WWW
今年のフジロックの木道亭に優河が出演した際、ボードウォークや草地などの客席が超満員になった。知る人ぞ知る優河のボーカルの魅力が、ここまで広がったのかと嬉しく思ったものだ。 優河のいちばんの魅力は、まずその声の良さだ。透明感があり、豊かな感情を含んでいて、聴いていて心が解放される。アイリッシュ・ミュージックやスタンダード・ジャズなどを歌うと、その特性がよく分かる。 次に挙げられるのは、知的な音楽性だ。音楽を通じて真理を探究しようとする姿勢は、ストイックで落ち着きがある。なぜその曲を選んだのか、どうしてこういうアレンジになったのかなど“音楽の理由”が明確なのだ。それゆえ彼女の歌には大変な説得力があり、思わず耳を傾けてしまう。また彼女は本の朗読も行なっているが、そちらも独特の味がある。そうした優河のオリジナル曲は、人間の心について書いたものが多くあり、作品の一つひとつが味わい深い。 今回のライブは最新ミニアルバム『めぐる』のリリース記念ライブで、バック・ミュージシャンは千葉広樹(b)、岡田拓郎(g)、谷口雄(key)、神谷洵平(dr)。歌を支える名人揃いで、クオリティの高いパフォーマンスが期待できる。 なお『めぐる』のタイトル曲は、全国ロードショー公開中の映画『長いお別れ』(監督・中野量太)の主題歌になっている。優河のボーカリゼーションは、初秋の一夜に聴くのがおススメだ。
19/9/14(土)