レバノンのスラム街を舞台に、そこで生きていく少年を主人公にした作品。いきなり裁判のシーンからスタートし、少年は裁判長にこう告げる。「両親を訴えたい。僕を産んだ罪で」。 少年は貧しい家に生まれ、大切な幼い妹が売られるように結婚させられ、家出し、エチオピア移民のやはり貧しい母子と出会い、彼らと暮らし、しかし母は不法就労で逮捕されて家に戻らず、赤ん坊と二人取り残され、そして家を追い出され…と信じられない受難が次々と襲いかかっていく様子が、むごたらしく悲しく描かれていく。 その生活の中で、少年が必死に守ろうとし続けたものはなにか。それに気づいた時に、圧倒的に心揺さぶられた。

19/7/15(月)