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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

【動画配信】おうちでカンゲキ!! 伝統芸能ホームシアター

国立文楽劇場開場三十五周年記念文楽公演『仮名手本忠臣蔵』全段(ダイジェスト版) ご存じ『仮名手本忠臣蔵』といえば歌舞伎と人形浄瑠璃(文楽)にとって最も大切、かつ人気ある演目だ。2019年開場35周年を迎えた国立文楽劇場では、この『仮名手本忠臣蔵』全段を3公演にわたって通し上演を果たした。この記録映像を2時間ほどに編集したダイジェスト版動画が、6月1日(月)まで無料配信されている。 全十一段を劇場で見るとなると朝から晩までかかるが、ここでは主だった場面を中心に編集されているため、気軽に『忠臣蔵』の見どころを楽しめるのは、文楽&忠臣蔵初心者にはうれしいコンテンツかも。 『忠臣蔵』は敵討ちのドラマとして知られるが、同時に発端から討ち入りまで、四季の移り変わりに沿ってドラマが展開していくことも人気の秘密かもしれない。ちなみに昨年の国立文楽劇場では、上演する舞台の内容と上演時期を合わせるというユニークな計らいも。 さて全十一段の構成は以下の通りだ。 大 序 鶴が岡兜改めの段、恋歌の段  二段目 桃井館力弥使者の段、本蔵松切の段 三段目 下馬先進物の段、腰元おかる文使いの段、殿中刃傷の段、裏門の段 四段目 花籠の段、塩谷判官切腹の段、城明渡しの段 中でも重要なのは判官切腹の四段目、勘平腹切の六段目、祇園一力茶屋の七段目、そして山科閑居の九段目だ。特にこの九段目は数ある浄瑠璃の中でも特に大曲中の大曲とされる。この動画でも、これらの段のハイライトが余さず編集&配信されている。 人形の動きや表情を楽しむもよし、太夫の語り、三味線の撥さばきに耳を傾けるもよし。歌舞伎の『忠臣蔵』との演出の違いを見つけられたらかなりの通だ。そしてやはり大星由良助ら登場人物の人物像や苦悩、その中で刻々と変わっていくもの変わらぬものを見つけたい。終わりの見えない不安な「すごもり中」だからこそ、心に響くものがきっと見つかるだろう。 太夫と三味線、人形遣いが遣う人形が一体となる瞬間は、たとえ画面越しであろうと、見る人をグッとひきつけ離さないはず。劇場が再開された折には、ぜひ生の三業の、手に汗握るライブな魂のぶつかり合いを体験してほしい。

20/5/20(水)

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