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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

ステージ・マザー

たまに映画関係者と「伊丹十三映画のような作品って、今ないよね」と話しをする。ニッチな題材に面白さを見いだし、そのHOW TOを見せながら、エンタテインメントとして昇華する娯楽作。伊丹作品はどれも面白いが、特に、『マルサの女』に代表される女シリーズのイメージだろうか。 本作を見て、ふと、そんな会話を思い出した。ごく普通の初老の主婦が、若くして亡くなったゲイの息子が残した落ち目のゲイバーを再建させる物語。ごく普通の主婦が、幼なじみが経営する落ち目のスーパーマーケットを繁盛させる『スーパーの女』を連想したのである。   主人公メイベリンは保守的なテキサスの田舎町で夫と暮らす主婦。息子の訃報を聞いて、サンフランシスコでの葬儀に参列。ドラァグクイーンたちが歌や踊りを披露するという斬新な葬儀にショックを受け、息子の風変わりな友人たちと溶け込むことができない。しかし、生前、息子と分かり合えなかった後悔から次第に歩み寄り、破綻状態のゲイバーの経営に乗り出す。彼女は聖歌隊のメンバーだったことから、その経験をドラァグクイーンのショータイムに活かしていく……。 主婦、恐るべし、聖歌隊、恐るべし。あれよあれよと活気づくゲイバー、メイベリン自身も輝き、息子の密かな思いも知る。主演は『世界にひとつのプレイブック』で2度目のオスカー候補となり、Netflix映画『バード・ボックス』などに出演したオーストラリア出身のジャッキー・ウィーヴァー。共演は『チャーリーズ・エンジェル』『キル・ビル』のルーシー・リューら。見終わった後にもう1回見たくなる。

21/2/21(日)

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