評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。
春日 太一
映画史・時代劇研究家
ジャスト6.5 闘いの証
21/1/16(土)
K's cinema
イランから、とてつもない映画が現れた。 物語は麻薬組織の壊滅を図る警察官を主人公に展開される。組織のトップを捕まえるため、主人公は容赦ない手段で追いつめていく……というのが前半。 ここまでで十二分に見応えがある。スピーディーなカット割で繰り広げられる個々の駆け引きに加えて、異様なスペクタクルにあふれたスラム街のロングショットなどの強烈なインパクトを与えてくる画の数々により、とにかくぐいぐいと引き込まれる。 が、それは本作にとってはあくまで前菜でしかなかった。 中盤からは、役者たちの特濃の芝居が怒涛の如く押し寄せてきて、魂が震える。留置場の描写も凄まじい。 そして、それを経て終盤に提示される、あまりに苦い現実の数々。 130分があっという間に感じられた。傑作。
21/1/13(水)