Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

恋恋豆花

台湾に行ったことがない人には、その魅力にハマらせてしまい、また何度も行ったことがある人にも改めて幸福感を噛みしめさせるというハートウォーミングな作品です。 ここには台湾の置かれた政治状況など小難しいお話は一切出てきません。しいて言えば、人間関係や恋愛のもつれが面倒になった奈央という女性が大学の中退を考えていること。そんな娘の事情を知ってか知らずか、なんと父親の提案は自身3度目の結婚相手に予定している綾と台湾旅行に行って来たらどうかというもの。よく知らない、しかも義母となりそうな女性との二人だけの旅行に不安と不満を募らせます。 なんだか一波乱起きそうな雲行きですが、せっかくだから思い切り楽しもうとする奈央が健気です。そんな彼女の旅行には今台湾で実際に評判の魅力的なスイーツやグルメ、そして思いがけない出会いが待っています。タイトルにもなった台湾スイーツ「豆花」をはしごして回る奈央の表情からはすっかり暗い影は消え去ったようです。 『アイコ十六歳』など数々の作品で少女の心を描いてきた今関あきよし監督。今作では奈央が義母に向かって口にしてはいけないセリフを、手にした人形の吹き出しの中で使い、「豚になっちゃえ」「無理なんですけど」と語らせるなど軽妙な展開が冴えています。 また俳優陣も主役の奈央にモデルとしても注目を集めるモトーラ世理奈、義母の綾に『ヘヴンズ ストーリー』の大島葉子、バックパッカーの青年清太郎に「DIVE!!」の椎名鯛造をあて、さらに『若葉のころ』で日本でも人気のシー・チーティエンを本人役で特別出演させるなど個性を生かしたキャスティングが成功しています。 作品を見ている間に台湾の美味しい店を知り、台湾が好きになって、ちょっぴり元気をもらえるポップな作品。音楽に乗ってスキップしたくなります。

20/2/21(金)

アプリで読む