秀山祭は俳名が秀山だった初代中村吉右衛門の功績を再認識する興行。今年はその初代の父、三世中村歌六の百回忌追善狂言が2演目出る。昼は『伊賀越道中双六・沼津』で当代の吉右衛門が呉服屋十兵衛、今の5代目歌六が雲助平作。夜が『松浦の太鼓』で歌六が松浦鎮信、大高源吾が又五郎という配役だ。 三世歌六は、明治・大正期、こってりとした上方系の古風で滋味溢れる芸風で活躍し、何でもできる器用で達者な役者だった。素晴らしいのは長男が大名優になった初代吉右衛門、二男が三世時蔵、三男が十七世勘三郎。子供から孫、曾孫まで大きな山脈の一族を作った。七世松本幸四郎と双璧と言える。その知識を頭に入れてみれば、ひと味違った観劇になると思うのです。

19/8/25(日)